プロフィール
野中 久美子(能管奏者)
京都市生まれ。1986年、国際基督教大学(ICU)教養学部卒業。
幼少よりピアノやヴァイオリンなど西洋楽器に親しむが、次第に日本の音楽に心惹かれ、能管を松田弘之(能楽森田流)に師事。
能管の独奏のほか、世界の様々な楽器や舞、朗読との共演も行っている。富士山五合目の小富士・屋久島縄文杉・下鴨神社糺の森・高野山刈萱堂、等の野外での演奏や全国の神社寺院での奉納演奏も数多い。笛が結ぶ縁に従ってアジア・ヨーロッパ諸国へも演奏行脚する。
笛の音は、地球の息吹である風が人の身体を吹き抜けて、人の耳に聞こえるように変じた響きであるように思い、その響きが遙か彼方へも吹き渡るように願って、自ら主宰する会の名を『風迢舎(ふうちょうしゃ)』と付ける。1998年から京都の大徳寺大慈院で「風響の会」を催し、年毎にメインテーマを設けて器楽・声楽・朗読・語りなどのジャンルの表現者をゲストに迎えて共演を行っている。2007年、風響の会10周年記念として能管リサイタル「一管一会」を大津市能楽ホールで行う。
2012年には「一管一会Ⅱ」を京都府民ホールALTIで開催し、コントラバス・ヴォイス・壺・ダンスの共演者を迎えて、委嘱作品「雪女」(岡田加津子作曲)を初演。
2015年5月にイタリア・ミラノで開催された国際博覧会(ミラノ万博)日本館で風迢舎主催公演を行い、日本の風土・文化・藝術を紹介する音楽と映像の作品を上演して好評を博する。
近年は、能管がもつ感覚性や情動性、屹立するような力感から生れる新しい創作曲に取り組んでいる。
2002年から筑前琵琶の川村旭芳と組み、「伽羅」というユニット名での活動も行っている。名香“伽羅”の香りを聞く如くに、ユニット「伽羅」の響きを聴いていただくようにと名付けられた。二人で神社・仏閣・キリスト教会から町家・銭湯まで、人の集まる様々な場へ演奏に伺っている。